2010年代の電子工作

手のひらPCM2702 USB DAC

Part1 : 試作編
2011年11月

Part1 : 試作編 | Part2 : 設計編 | Part3 : 製作編

はじめに

USB DACのワンチップICと言えば、TI社のPCM270xシリーズが有名です。PCM2704はとてもよくできたチップですが、やはり高感度ヘッドフォンを使う場合はもう少しSN比が足りない印象です。
今回はPCM270xシリーズのなかで、NRNDになってしまったものの、最もSN比などのスペック上の性能が良いPCM2702を使ったUSB DACを製作しました。

試作機
PCM2702 USB DAC Prototype

PCM2702を使うのは初めてなので、試作機を作ってみました。試作機といっても、プリント基板を作って、本格的に仕上がりました。 基本的な構成はこの試作機を元に、より完成度の高いDACボードを作る予定です。

課題

試作機を評価したところ、いくつかの問題点が見つかりました。

ノイズ
音声信号はとてもクリアで高音質でしたが、USB電源のノイズがかすかに出力されてしまっています。こだわりPCM2704の時は、アナログ電源は3.3Vで、USBからの電源に対して、一度レギュレーターを通っています。 そして、このレギュレーターがとても優秀なノイズフィルターの働きをしてくれます。(全領域で高いPSRRを持っています。詳しくはこだわりPCM2704の設計編を参照してください。) 一方、PCM2702の場合はアナログ電源は5Vで、試作機では、エミフィルを通した電源を直結しています。そのため、パソコンのノイズがそのまま聞こえてしまっています。 このパソコンのノイズの聞こえ方はパソコンによってかなり差があり、つい最近まで使ってきたVaio SZはほとんどノイズが載りませんが、最近購入したVaio SEで再生すると、パソコンで何かしらの操作をすると、そのノイズが聞こえてきます。

このようにノイズがPCM2702の電源に載らないように、オペアンプ用の電源(12V)をレギュレーターで5Vに落としてアナログ電源にするように変更する予定です。 またオペアンプ用の±12V電源用にMC34063Aを2つ使ってましたが、入力側にノイズが多く載ってしまうほか、動作条件によってはスイッチング周波数が可聴域内に入ってしまうことなどから、他のDCDCコンバーターに変更する予定です。 有力候補はLT3582というICで、I2Cで電圧をプログラムできるようになっています。(±12Vにプリセットされたモデルもあるのでマイコンなしでも使えそうです) PCM2702でDACを作っているこちらのサイトでもLT3582を使っているので実績?があるICとして期待しています。

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