手のひらPCM2704 USB DAC Ver.2
2012年3月はじめに
TI社のPCM2704は昨年(2011年)ついに新規設計非推奨(NRND)となり、マイナーチェンジしたPCM2704Cが登場しました。
無印のPCM2704からの変更点は、Windows Vista,7に接続した時のボリュームの仕様変更のみで、完全ピンコンパチブルです。
Windows Vistaと7で無印PCM2704を使用したことのある人ならわかると思いますが、PCM2704は音量が小さい領域でのボリュームの感度が敏感すぎてとても使いづらいものでした。
これがPCM2704Cでは解消され、ボリュームの調整が楽になってると思われます。Digikeyでも取扱を開始したのでPCM2704CのDACボードを作ってみることにしました。
(PCM270xのボリュームに関しては、別ページに詳しくまとめました。)
PCM2704Cは無印PCM2704とピンコンパチブルなのでこだわりPCM2704のチップを置き換えるだけで動作します。しかし、せっかくなので手のひらPCM2704 USB DACのVer.2として新しい基板を設計しました。
基板は手のひらPCM2702の試作機と同じような配置にして、PCM2704C用に改良しました。±12Vの電源を搭載し、さまざまなオペアンプに交換できるようになっております。それ以外もこだわりPCM2704と手のひらPCM2702と同じような構成で、
低ジッターのクロックやDCラインフィルターを使いました。
こだわりPCM2704からの改良としては、ボリューム調整やミュートの各HID端子とS/PDIFのDOUT端子を外部配線できるようにしました。
手のひらPCM2702をPCM2704Cに置き換えたような構成です。
部品リスト部品番号 | 説明 | メーカー | 型番 |
---|---|---|---|
C1,C2 | 電解コンデンサ(MUSE ES) 22μF | ニチコン | UES1E220MEM |
C3,C4 | フィルムコンデンサ 4700pF | エプコス | B32529C1472J |
C5,C6 | フィルムコンデンサ 1000pF | エプコス | B32529C102J |
C7,C10〜C12,C16〜C18,C22〜C29 | セラミックコンデンサ(1608) 0.1μF | TDK | C1608X7R1E104K |
C8,C15 | 電解コンデンサ 120μF | ニチコン | UHE1C121MED |
C9 | セラミックコンデンサ(1608) 1μF | 村田製作所 | GRM188F51C105ZA01D |
C13,C14 | セラミックコンデンサ(1608) 0.01μF | TDK | C1608X7R1H103K |
C19 | 電解コンデンサ(Fine Gold) 33μF | ニチコン | UFG1E330MEM |
C30,C31 | フィルムコンデンサ 0.022μF | エプコス | B32529C223J |
CN1 | RCAステレオジャック | Linkman | AV2-8.4-12-RW |
CN2 | 3.5mmステレオジャック | Linkman | PJ-3420 |
CN3 | USB mini-Bコネクタ | ヒロセ | UX60A-MB-5ST |
D1,D2 | ショットキーダイオード | Fairchild | RB520S30 |
D3 | 緑色チップLED(1608) | Kingbright | APG1608ZGC |
D4 | 白色チップLED | OSRAM | LW P473-R2T1-3K8L-1-Z |
L1 | エミフィル ノイズ除去フィルタ | 村田製作所 | BNX012-01 |
L2,L3 | チップインダクタ 6.8μH | 太陽誘電 | NR3015T6R8M |
L4 | チップインダクタ(1608) 3.3μH | TDK | MLF1608A3R3M |
R1, R2 | チップ抵抗(1608) 22Ω | ローム | MCR03EZPFX22R0 |
R3 | チップ抵抗(1608) 1.5kΩ | ローム | MCR03EZPJ152 |
R4,R5,R8,R9,R14,R15 | チップ抵抗(1608) 3.3kΩ | パナソニックECG | ERJ-3EKF3301V |
R6,R7 | チップ抵抗(1608) 3.9kΩ | ローム | MCR03EZPJ392 |
R10 | チップ抵抗(1608) 4.7kΩ | ローム | MCR03ERTJ472 |
R11 | チップ抵抗(1608) 470Ω | ローム | MCR03EZPJ471 |
R12,R13 | チップ抵抗(1608) 16Ω | ローム | MCR03EZPJ160 |
R16 | チップ抵抗(1608) 100kΩ | ローム | MCR03EZPFX1003 |
U1 | USBオーディオインターフェース | Texas Instruments | PCM2704CDBR |
U2 | 12MHz 水晶発振器 | Fox Electronics | FXO-HC536R-12 |
U3 | オペアンプ | 新日本無線 | NJM4558DD |
U4 | 3.3V LDOレギュレータ | Analog Devices | ADP150AUJZ-3.3-R7 |
U5 | DC-DCコンバータ | Linear Technology | LT3582EUD-12#PBF |
製作
今回もアイロンによるリフローはんだ付けを行いました。詳しくはこだわりPCM2704 製作編をご覧ください。
自宅のWindows 7のパソコンに接続したところ、ボリュームの調整に関しては、無印PCM2704よりはるかに楽になりました。
無印PCM2704はOSのボリュームが「1」でもかなり音量がありましたが、PCM2704Cはボリューム「10」が無印PCM2704のボリューム「1」に相当する感じだと思います。詳しくは別ページにまとめました。
わずかな機能差ですが、使い勝手の差はかなり大きいです。PCM2704Cはまだ取り扱ってる業者が少ないせいか、やや値段が高いですが、その価値はあると思いました。
音質に関する評価ですが、やはりPCM2704はPCM2702より低音が強い気がします。私は個人的にPCM2704の音のほうが好みです。
基板が数枚あまりましたのでWebShopビスパで販売したいと思います。
すべて簡単なはんだ付けが必要なキットとなっております。チップ部品はすでにアイロンリフローで実装済みなので、
はんだ付け初心者でもコツをつかめば簡単にできると思います。
USB DACの記事が増えてきて情報がバラバラになってきたので特徴をまとめました。
- ボリュームの調整を改善したPCM2704Cを搭載
- 低ノイズ、高PSRRなレギュレータ(ADP150)を3.3V電源に採用
- 低ジッターなオシレータ(FXO-HC53)を搭載
- オペアンプ用に±12Vの昇圧電源を搭載
- USBバスパワードなので、外部電源は不要
- DCラインフィルター(エミフィル)を搭載
追記:2012年10月21日
追加で4つWebShopビスパで委託販売をおこないます。
いくつかのコネクタがメーカ廃番となったため、今回が最後の追加販売となります。
説明書
組立てクイックガイド : 組立てに必要な情報を1枚にまとめました。